鉄道写真と飛行機写真の撮影紀
2010年の表紙写真集
大丈夫だよと、背を押され……
雄々しくそびえ立つ富士山に背中を押されるように、列車が御殿場の街を後にする。これから迎える峠越えを前に、2両の短い編成はあまりにも頼りない。富士の山は「大丈夫だよ」とやさしく語りかけるが如く、悠然と見守っていた。
その一歩、かみしめて……
3月のダイヤ改正をもって引退するというその古参の気動車は、細い鉄路をそろそろと進む。自分の去り際を感じるかのように、一歩一歩大切に、もうあと何回あるかわからないこんな素晴らしい雪晴れの一日を記憶にとどめようとするかのように……。
春が待つ、次の駅へ……
冬でも霜がおりない南房総では、早春からたくさんの花が咲き誇る。和田浦を発車した内房線の線路沿いには菜の花が咲いていた。次の駅もきっとたくさんの花で埋もれていることだろう。花のにおいに包まれて、列車は春へと突き進む。
ようこそ、希望の春へ……
これまでつらく長い道のりだったことでしょう。休むことなく、寒い中を一生懸命飛んできたのですから。ようこそ、希望の春の国へ。あなたを最大限歓迎します。疲れを癒し、また始まる長いフライトへ、どうぞ英気を養ってください。
晴れた日は、海を眺めて……
切り開かれた街の裏山からは、眼下に小さな港町を望むことができた。素晴らしい青空の下で、時折り海から吹く潮風を存分に受ける。晴れた日は青い海を眺めよう。そうすれば、つらいことはあっという間に過去へと流れていってくれる。
雨の日は、各駅停車で……
しとしと雨が降り続く日には、各駅停車の旅がおすすめです。いつもは通り過ぎてしまうような小さな駅に降りてみれば、何か新しい発見があるかもしれません。あじさいに囲まれながら、ゆっくり次の列車を待つ。そんな旅もいいと思いませんか。
夏へ、海へ、一直線!
トンネルばかりの車窓に飽きてきたと思ったら、一瞬、絶景がのぞいた。そこには青く、そして美しい海が太陽にきらきらと輝いていた。夏へ、海へ、一直線! 楽しい夏の思い出を刻むために、南国へと向かう特急は、ひと筋の風のごとく、さっそうと駆け抜ける。
小さな想い出つくる旅……
東京からわずかな時間でたどり着ける江ノ電沿線での日帰り小旅行。こんな小さな想い出の積み重ねが一生忘れられない夏の記憶へとつながるのだと気づいた旅でした。小さな想い出をつくりに、1日だけでも、お出かけしてみませんか?
丸窓電車、稔りの園を……
信州随一の米どころ、上田の塩田平を行く丸窓電車。名峰独鈷山がやさしく見守る豊かな稔りの園には、短い路線ながらも一生懸命に頑張る小さな私鉄が走っていました。黄金に色づいた田園地帯を、電車は今日も地元の大切な足として頑張っています。
朝風に深呼吸……
びっくりするくらい涼やかになった朝、海から流れてきたもやの中、朝日が静かな港町に輝きを与える。遠くから踏切の音が聞こえてきて、一番列車が到着した。何人かの乗客を乗せて、一日の始まりを告げる汽笛を残し、列車は駅を発車した。
落ち葉ギシギシ踏みしめて……
思い思いに色づいた木々から、風に乗って、はらはらと落ち葉が舞い落ちる。散歩道はさながら落ち葉のカーペットのようだ。ギシギシ音を立てて歩いていたら、いつものお散歩がなんだかとても楽しくなってきた。もう少し歩いてみようかな。
雪夜に花火、打ち上がれ……
打ち上げ花火を上から見てみたい。それも、夏ではなく、北国の冬に。そう思って函館山へと登った。 寒さの中で今か今かと待ち続けたぼくに、最高のクリスマスプレゼント。 体は冷え切っていたが、心にはぽっと暖かな炎が灯った。